熊野灘に面する高密な漁村集落『古江』
古江(ふるえ)/三重県尾鷲市
斜面上に発達した集落
熊野灘の入江に面する斜面に建物が密集する古江集落があります。熊野灘に面する集落はいくつも存在しますが、古江の特徴はなんといっても建物の密集度。しかも平地ではなく斜面に這うように集落が発達しており、特異な景観を生んでいます。
集落は漁港沿いを通る国道311号から山手に駆け上がった一帯。集落内へは細い路地が何本も伸びています。
斜面を駆け上がる路地はすべて階段状になっており、車両が入ることはできません。住民の方は国道沿いの埋立地に設けられた駐車場に車を置き、これらの階段を徒歩で往来しているようです。
階段を上って後ろを振り返ると、集落が海中へ滑り落ちているかのような構図が見られ、いかに傾斜地に集落が発達しているかがよくわかります。
集落内には等高線方向に伸びる路地も多くあります。こうした路地は等高線に沿っているだけあって、平坦ながらも蛇行するように伸びています。
路地の左右で建物の地盤面が大きく異なっていることからも、集落が急斜面に広がっている様子が読み取れます。
集落の頂上まで上っていくと古江神社に辿り着きます。神社からは高密に広がる集落の全貌や複雑に入り組む海岸線を見下ろすことができます。
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通常の漁村は平地や谷戸に形成されるものですが、古江にはそのような土地が全く見られないのが特徴です。物理的に車両が入り込むのが困難な土地であるがゆえに、モータリゼーションが進んだ現在でも細い路地がほぼ完全な形で残されており、貴重な景観を生んでいます。
(取材年月:2016年8月)
訪問ガイド
所在地
- 三重県尾鷲市古江町624 付近
アクセス
- 【尾鷲・三木里方面からバス】尾鷲市ふれあいバスハラソ線でJR尾鷲駅から約40分/JR三木里駅から約15分、古江下車すぐ
・1日4便
・リンク:尾鷲市
- 【賀田駅から徒歩】JR紀勢本線賀田駅から徒歩約30分(2.1km)
※2020年5月現在