茅葺屋根が見事に連なる山間の宿場町『大内宿』
大内宿(おおうちじゅく)/福島県南会津郡下郷町
重伝建の古参、観光地化に成功した町
大内宿は栃木県今市と福島県若松とを結ぶ下野街道沿いに形成された宿場町です。1981年に全国で3番目に重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、町並み保全や町並み観光の先駆けといえる存在です。
国道121号や会津鉄道など現代における南会津のメインルートは阿賀川沿いに敷設されていますが、下野街道は下郷町の中心部・楢原から阿賀川と別れて大内峠を越えるルートでした。大内宿はその大内峠の南側に位置し、峠の麓の宿場として賑わったようです。
大内宿の特色といえば茅葺・寄棟造の民家が見事に建ち並ぶところ。山間部にあって建物や地割が比較的良好な状態で残されていたこと、比較的早い時期から町並み保全運動が行われてきたことがこのような奇跡的な町並みを生んでいるように思われます。
建物は街道や隣の民家から一定の間隔を開けて整然と建ち並んでいます。多くの建物が観光客相手の店舗として利用されており、空いたスペースには観光客の飲食や休憩の用に供されています。
裏手には住居や蔵が構えています。観光客が押し寄せる表通りに対し、こちらは専ら住民の生活の場のようです。
街道の両脇を流れる水路もまた大内宿を特徴づける大きな要素です。もともと道の中央にあったものが、両側に付け替えられ再整備されたそうです。
今市方から若松方に向けて進んでゆくと、突き当たりに立派な民家がアイストップとして構えています。
その民家の脇の階段を登ると見晴らし台があり大内宿を一望できます。大内宿の定番の撮影地になっているようですが、このような絵になる構図で写真が撮れる場所は貴重なものです。
***
観光地化が過度に進行しツアー客が連日押し寄せる光景に賛否はありますが、見応えがあるのは確かで、町並み入門者にもお勧めできる町です。
(取材年月:2020年4月)
訪問ガイド
所在地
- 福島県南会津郡下郷町大字大内
アクセス
- 【湯野上温泉から】会津鉄道湯野上温泉駅から徒歩約70分(5.5km)
・駅から大内宿に向けては上り坂が続きますが、山と渓流が美しく、のどかな雰囲気が楽しめます。
- 【湯野上温泉から】会津鉄道湯野上温泉駅から広田タクシーの周遊バス「猿游号(さるゆうごう)」で約20分、大内宿下車
・1日8往復
・会津鉄道とセットになった特企券あり
- 【湯野上温泉から】会津鉄道湯野上温泉駅から会津バスで約15分、大内下下車
・1日3.5往復、運行時間帯が限られるため要注意
※2020年4月現在