多様な時代の旅館が集積する『飯坂温泉』
飯坂温泉(いいざかおんせん)/福島県福島市
“福島の奥座敷” として長い歴史を持つ温泉地
福島市の北郊に栗子連峰の麓位置する飯坂温泉。福島市の中心部から程近いという立地にも恵まれ、東北屈指の温泉街として発達してきました。
飯坂温泉の歴史は中世にまで遡り、以来多くの歴史上の著名人が足を運んだ記録が残されています。温泉街が劇的に発展したのは戦後の高度成長期。交通の便の良さを追い風に多数の団体旅行客が押し寄せ、摺上川沿いに中層の温泉旅館が建ち並ぶようになりました。
温泉街の玄関口は福島交通の飯坂温泉駅。駅を出ると目の前に旅館街が広がっています。
旅館群は駅から川の上流に向けて壁のように立ちはだかります。1970年代に全盛を迎えた温泉街ですが、今となっては廃業し廃墟同然と化しているものも少なくありません。
寂れた雰囲気が否めない摺上沿いの旅館街とは裏腹に、川の右岸の台地には古くからの温泉街が広がります。
駅から湯沢通りと呼ばれる通りをしばらく上っていくと、飯坂温泉発祥の地とされる一帯に行きつきます。
周辺には復元された木造建築の共同浴場『鯖湖湯』があるほか、立派な蔵や商家が集積します。
温泉街はここからさらに奥に伸びており、旅館やスナックが雑然と建ち並びます。
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戦後に開発の波が押し寄せた温泉地ですが、古くからの温泉街と新しい旅館街とのエリア的に棲み分けられており、歴史的な建築群は健在しています。様々な顔を持ち、回遊していて楽しい温泉街です。
(取材年月:2019年6月)
訪問ガイド
所在地
- 福島市飯坂町湯沢、十綱町、鯖湖町、若葉町、切湯ノ上 ほか周辺一帯
アクセス
- 福島交通飯坂温泉駅から徒歩約5分(約350m)
※2020年5月現在