多彩な建築群が残る東讃の港町『引田』
引田(ひけた)/香川県東かがわ市
幅広い産業を基盤に繁栄した町
引田は香川県東部の瀬戸内海に面する町です。町の規模は決して大きくありませんが、狭い町域に古い町並みを色濃く残しています。
入江に面した引田は古くから天然の良港として発達してきました。中世には引田城が築かれ、城下町としても繁栄。引田城自体は江戸時代の一国一城令を受けて廃城となりますが、その後も清酒や醤油の醸造、いわゆる「讃岐三白」(綿、砂糖、塩)や手袋の生産など、多様な産業を基盤に繁栄を続けてきました。
古い建築が多く残るのは、引田城跡や引田の氏神である誉田八幡宮に通じる本町通り周辺。付近には廻船問屋や醸造所が密集しており、立派な土壁が連なる景観が印象的です。
通りの中でひと際目を引くのが醸造所『かめびし屋』。真紅に染められたベンガラ造の土壁が町並みに強烈なアクセントを与えています。
本町通りから南に進んでいくと平入の町家建築が連なる一帯があります。駒寄が道路の両側に並ぶポイントがちょっとした見どころです。
同じ通りには引田郵便局として使用されていた立派な近代建築も保存されています。
国道や鉄道駅に近いエリアに来てみると、昭和の商店街の面影を残す町並みが残ります。所々に2階窓に欄干の付いた木造建築が残されていますが、かつては遊郭街だったと思われます。
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統一感こそ欠くものの多彩な建築が町全体に残るのが引田の素晴らしさ。多様な産業を背景に広い年代にわたって繁栄を続けてきたことが窺えます。
(取材年月:2019年12月)
訪問ガイド
所在地
- 香川県東かがわ市引田
アクセス
- JR高徳線引田駅から徒歩約10分(0.5km)
※2020年5月現在