熊本・大分県境に跨る秘湯『杖立温泉』

杖立温泉(つえたておんせん)/熊本県阿蘇郡小国町・大分県日田市

杖立川から温泉街を仰ぐ
湯煙と霧が立ち込める杖立の温泉街

渓谷に伸びる小ぢんまりとした温泉街

杖立温泉は熊本県と大分県の県境に跨る山間部の秘湯です。

温泉街の大部分は熊本県側に所在していますが、地理(水系)的にも経済的にもどちらかというと大分県側との結びつきが強く、遠方からの旅行者は日田経由でアクセスするのが一般的です。

杖立温泉街全景

温泉街は杖立川の両岸に細長く伸びており、共同浴場のほか約20軒の宿泊施設が立地しています。バスが通るメインの通りは右岸側にありますが、旅館などが密集するのは左岸側。両岸の間は1つの車道橋のほか2つの人道橋で行き来することができます。

温泉街の風景
杖立橋と温泉街

温泉街の中心部に架かる人道橋は『杖立橋』。スタイリッシュな斜張橋で、右岸側は交流施設に直結しています。

温泉街に建ち並ぶ旅館や店舗

杖立橋の左岸側の袂が温泉街の中心。旅館のほか土産物屋や飲食店が建ち並びます。

蒸し場

温泉街の中には『蒸し場』がいくつか設置されており、観光客が自由に食材を蒸すことができます。筆者が訪れた際は女性旅行客が卵を蒸していました。

温泉街裏の路地
温泉街裏の路地

川沿いに建ち並ぶ建物の裏手には斜面に沿って階段状の路地が巡らされており、まるで迷路のよう。路地沿いには神社や共同浴場、隠れ家的な店が静かに佇み、川沿いのメインストリートとはまた異なった風情を醸し出しています。

もみじ橋

温泉街の下流側には『もみじ橋』が架かります。こちらは木造の屋根が特徴的な橋で、いわゆる恋人の聖地的なスポット。絵馬ならぬ“絵鯉”が所狭しと飾られています。

温泉街の路地
杖立川

もみじ橋の脇からは河川敷に降りることができます。この河川敷、専ら駐車場や緊急車両の通行路として使われているようです。もう少し良い使い方があるような気もしますが、狭い渓谷で十分な土地がないがゆえの苦肉の策といったところでしょうか。

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鄙びた印象の杖立温泉ですが、福岡市内からの交通の便が充実していることもあって、若年世代や女性の客も少なくないのが印象的。比較的訪れやすい秘湯です。

(取材年月:2019年12月)

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訪問ガイド

所在地

  • 熊本県阿蘇郡小国町大字下城

アクセス

  • 【高速バス】福岡・福岡空港~杖立・黒川温泉線(西鉄バス、産交バス、日田バス)
    ・1日4往復、座席予約制
    ・対日田、対黒川温泉等の区間利用も可
    ・リンク:西鉄バス
  • 【日田方面から】日田バスセンター(JR久大本線日田駅前)から日田バス杖立線で約50分、杖立下車
    ・1日4.5往復(休日は3.5往復)
    ・リンク:日田バス
  • 【阿蘇方面から】JR豊肥本線阿蘇駅から産交バス阿蘇小国杖立線で約1時間20分、杖立下車
    ・1日6往復(休日は4往復)
    ・リンク:産交バス
  • 【黒川温泉方面から】黒川温泉から産交バス「小国郷ぐる~っとバス」で約30分、ゆうステーション乗換、ゆうステーションから産交バス阿蘇小国杖立線で約20分
    ・小国郷ぐる~っとバスは右廻り・左廻り計7本(休日は6本)
    ・リンク:小国郷ぐる~っとバス
    ・リンク:産交バス

※2020年5月現在

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