九州の西の果ての港湾都市『平戸』
平戸(ひらど)/長崎県平戸市
南蛮貿易の玄関港として栄えた町
九州本土最西端・神崎鼻より西の東シナ海に位置する平戸島。1977年に架橋が行われ今でこそ九州本土と陸路で結ばれていますが、戦後長らくの間は国内でも数少ない離島の市として知られてきました。
平戸の歴史は中世に遡り、スペインやポルトガルの貿易船が度々渡来してきました。平戸港が隆盛を極めたのは江戸前期。いわゆる南蛮貿易の拠点として発達し、港はイギリスやオランダの商船で賑わったとか。江戸幕府が鎖国を行ってからは貿易港の機能は出島に奪われることとなりますが、町の中には貿易で繁栄した名残が見られます。
町の中心は鏡川河口の小さな入江沿い。入江の入口には貿易の拠点として活躍したオランダ商館が復元されています。
入江には平戸港があります。かつては九州本土の田平とを結ぶフェリーをはじめとして多くの船便が発着していましたが、架橋が進んだ現在では近隣の的山(あづち)大島や度島に渡る船が発着するのみです。
市街は港を取り囲むように発達しており、『オランダ商館通り』と名付けられた通り沿いには階高の高い平入の建築が建ち並びます。
町並みは修景によるところが大きいですが、歴史的な建築物も少なからず存在します。中には3階建の木造建築も見られます。
オランダ商館通りはゆるやかなカーブを描きながら鏡川の河口へと至ります。
鏡川には『オランダ橋』とも呼ばれる重要文化財の石橋・幸橋が架かり、対岸の平戸城へと通じています。
市街の後背には丘が連なり、随所に坂道や階段が設けられています。
丘を登ると入江の奥に必ず平戸城の天守閣を望めるのが平戸の魅力。坂道や階段にも個性が見られます。
宮の町には寺院と教会が見える道として観光名所にもなっている坂道があります。和と洋が混在する町を象徴する光景ではないでしょうか。
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大陸との交易の玄関口となることは世界地図のなかで平戸の位置を確かめると必然のように思われます。小さな島に形成された市街は全国にいくつかありますが、これほどまで文化財や歴史的町並みを見られるのは平戸ならではの特徴です。
(取材年月:2017年7月)
訪問ガイド
所在地
- 長崎県平戸市崎方町、浦の町、宮の町
アクセス
- 【田平(平戸口)方面からバス】松浦鉄道たびら平戸口駅から徒歩約10分(0.7km)、平戸口桟橋から西肥バス54、67、68、69系統で約15分、平戸市役所前または平戸桟橋下車
・1時間1~3本程度運行
・平戸口桟橋バス停:長崎県平戸市 田平町山内免334−5
・リンク:西肥バス - 【田平(平戸口)方面から徒歩】松浦鉄道たびら平戸口駅から徒歩約1時間(4.9km)
- 【田平(平戸口)方面からフェリー】松浦鉄道たびら平戸口駅から徒歩約10分(0.7km)、平戸口桟橋から平戸市営フェリー『フェリー大島』で12分、平戸桟橋下船
・1日1本のみ
・リンク:平戸市
- 【佐世保方面からバス】西肥バス『半急』でJR佐世保線佐世保駅から約1時間30分/佐々バスセンター(松浦鉄道佐々駅前)から約1時間、平戸市役所前または平戸桟橋下車
・1時間1本程度運行
・リンク:西肥バス
※2020年5月現在