都市計画思想に基づいて造られた近代港湾都市『三角西港』
三角西港(みすみ にしこう)/熊本県宇城市
近代日本の発展を支えた港湾都市
三角港は熊本県の宇土半島の先端部に位置する港湾です。港は現在、東港と西港に分かれていますが、旧港である西港の一帯は『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』の一部として世界遺産に登録されています。
西港はオランダ人水理工師ムルドルによって設計され、1887年に開港しました。築港事業は国の主導で行われ、三国港(福井県)と未成に終わった野蒜港(宮城県)と合わせて明治三大築港と称されています。
港には750m余りにわたって石積みの護岸が築かれており、建設当時の姿をほぼそのまま残しています。
三角西港の特徴は、港湾に留まらず町全体が明確な思想をもって設計された点です。街路や排水路が計画的に配されたほか、商業地区や司法・行政地区、遊興地区などと用途別のゾーニングが行われました。都市計画が法制化される30年以上前に三角の地で近代的な市街地計画が実践されていたとは驚きです。
護岸沿いの低地は当時の“商業地区”で、旅館や倉庫などの建築が復元・保存されています。
“行政地区”の山手には郡役所や簡易裁判所の建築が残ります。
“遊興地区”は住宅地と化していますが、街路が綺麗に整備されていることもあり、どことなく往時の雰囲気を感じ取るころができます。
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目を引く建築物は残念ながら復元や移築がなされたものが多いですが、港湾施設や都市構造は良い状態で保存されており、歩いていて飽きません。近代日本にじっくりと思いを馳せることができる町です。
(取材年月:2019年12月)
訪問ガイド
所在地
- 熊本県宇城市三角町三角浦
アクセス
- 【熊本・宇土方面から】【快速バス】産交バス快速「あまくさ号」で熊本桜町バスターミナル・熊本駅から約1時間/宇土駅から約30分、三角西港前下車
・1日15往復
・リンク:産交バス - 【宇土方面から】JR鹿児島本線宇土駅から産交バス三角宇土駅線で約40分、三角西港前下車
・1日12往復(休日は1日4往復)
・リンク:産交バス - 【三角(東港)方面から】JR三角線三角駅前(三角産交)から産交バス三角宇土駅線または三角さんぱーる線で約10分、三角西港前下車
・1日15往復
- 【三角(東港)方面から】【徒歩】JR三角線三角駅から徒歩約30分(2.5km)
※2020年5月現在