曹洞宗大本山の門前町だった町『門前』
門前(もんぜん)/石川県輪島市
今は大本山總持寺“祖院”の門前町
能登半島の日本海岸から少々内陸に入ったところに門前という名の町があります。随分と安直なネーミングな気がしますが、由緒ある寺院の門前町として形成された町です。
町の母体となる寺院は『總持寺祖院』。もともとは曹洞宗大本山の總持寺だったものが火災により大部分を焼失。紆余曲折を経て本山の機能が横浜市鶴見区に移転し、現在は『祖院』として存続しています。
寺の参道は西(海側)に向けて伸びていますが、町のメインストリートは参道と直角に交わる数百メートルの通りです。通りには民家に紛れて参詣客向けの旅館やそば屋などが建ち並んでいます。
壁面の漆喰塗りや板張り化、瓦の葺き替えなどの修景事業が積極的に行われており、町並みはかなり整然とした印象を受けます。
筆者が訪れた日は参道で『能登雪割草・門前そばの市』なる市が開かれており、多くの人で賑わていました。往時の賑わいを想像させられます。
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門前という町の名は、1930年に櫛比(くしひ)村が町制移行する際に付けられたようですが、門前町としてのアイデンティティの強さを感じます。余談ですが、重伝建の黒島とは目と鼻の先ですので、黒島とセットで訪れることをお勧めしたい町です。
(取材年月:2018年3月)
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訪問ガイド
所在地
- 石川県輪島市門前町門前
アクセス
- 【穴水方面から】のと鉄道穴水駅から北鉄奥能登バス穴水線で約35分、門前下車、徒歩約5分
・穴水~門前は1日7往復(休日は4.5往復)
・リンク:北鉄バス - 【羽咋方面から】JR七尾線羽咋駅から北鉄能登バス富来線で約1時間、富来乗換、北鉄能登バス外浦線で約1時間10分、總持寺前または立町下車
・羽咋~富来は1日16往復(休日は8往復)
・富来~門前は1日2往復
・富来へは北鉄能登バス富来急行線経由でもアクセス可能(1日3往復)
・富来~門前は朝晩各1往復のみの運行のため要注意
※2020年5月現在