赤煉瓦煙突が林立する西国の“酒都”『西条』
西条(さいじょう)/広島県東広島市
酒蔵が密集する一大銘醸地
広島市東郊の内陸に位置する西条。近世に西国街道の宿場町として栄えた町ですが、近代以降は酒造が急速に発達し、酒蔵の町として全国に名が知れるようになりました。酒造は今なお盛んに行われており、兵庫県の灘、京都府の伏見と並び『日本三大銘醸地』の1つに数えられています。
酒造の始まりはこの地に宿場町が形成された頃と同時期と言われています。しかし黎明期は酒蔵も3軒ほどしかなく出荷も地元向けが殆どだったようです。酒造が本格的に普及したのは近代になってから。財を成した者が相次いで酒造を始め、鉄道の発達という追い風を受けながら多くの酒を全国に流通させるようになりました。
西条には7つの蔵元が集まっており、酒蔵が建ち並ぶ町並みが形成されています。西条の蔵の特徴は何といっても石州瓦の屋根と赤煉瓦造の煙突。漆喰塗りの白い壁と褐色の瓦や煉瓦との対比が鮮やかです。
『酒蔵通り』という愛称を持つ旧街道沿いには酒蔵や酒屋が軒を連ねるほか、立派な町家も随所に見られ、宿場町としての風情も漂います。
町の一角には本陣跡と広島県の醸造試験場として使われた洋風建築が並び、宿場町と醸造町の2つの顔を持つ西条を象徴する光景も見られます。
酒蔵通りから裏道に入ると、酒蔵の間を縫うように通る路地が広がり、散策を楽しむ観光客の姿が絶えません。
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酒蔵を擁する町には観光客を呼び寄せる不思議な魅力があるものですが、酒蔵が犇めく西条はその例に漏れず多くの観光客を呼び寄せているようです。
(取材年月:2017年9月)
訪問ガイド
所在地
- 広島県東広島市西条本町
アクセス
- JR山陽本線西条駅から徒歩約5分(0.3km)
・西条駅は山陽新幹線東広島駅、竹原、呉などからもバスでアクセス可
※2020年5月現在