立体都市を縦横無尽に駆ける 中国『重慶モノレール』
重慶モノレール/中国・重慶市
重慶市内の軌道交通網を構成するモノレール路線
重慶は長江と嘉陵江の合流地点に位置する人口約3000万人の都市です。
その巨大都市の移動を支えるのが重慶軌道交通(CRT)。中国の他の都市と同様に重慶市内の軌道交通は建設ラッシュの真っ只中ですが、2020年現在、8路線が開業しています。
路線の大部分は鉄軌道ですが、市内中心部を貫く2号線と3号線はモノレールで建設されています。
モノレールの車両や設備に特に変わった点は見られませんが、地形が険しいうえに香港以上に高密な重慶の街を縦横無尽に駆け巡る姿は、初見の者を驚かせます。
渝中半島を東西に縦断する2号線
重慶初のモノレール路線である2号線は、長江と嘉陵江に挟まれた「渝中(Yuzhong)半島」を東西に縦断する路線。日本の援助を受け、大阪モノレールと同じ規格で建設されています。
渝中半島には1号線が並行して敷設されていますが、1号線は半島中央部の丘陵を直線的に貫く地下鉄路線。それに対して2号線は嘉陵江に沿う形で敷設されています。
地形や土地の制約から、地下トンネルを走ったり大きな橋を潜ったり、道路の上を走ったり下を走ったりと目まぐるしく車窓が変化していきます。
急勾配や急曲線に強いモノレールの持ち味が最大限に発揮されている様が圧巻です。
渝中半島を南北に横断する3号線
東西に伸びる2号線に対して3号線は渝中半島を南北に横断する路線です。半島を横断するといっても半島内にあるのは1駅間だけ。北は嘉陵江、南は長江を渡って郊外へと足を伸ばしています。
3号線の車窓も2号線に劣らない目まぐるしさ。国鉄の重慶北駅方面から乗ってくると、橋(嘉陵江)、トンネル(半島内)、橋(長江)と車窓が移りゆきます。
重慶の地形の険しさをダイナミックに表現する沿線風景です。
李子壩駅は中国人に大人気のSNS映えスポット
重慶モノレールのアトラクション的要素は地元の中国人民をも魅了します。
その代表格が日本国内でも時折話題に上る李子壩(liziba)駅。高層マンションの中層部をモノレールが突き抜けることで有名な駅です。
※壩の正確な表記は土へんに貝。本稿では便宜上繁体字で記す
李子壩駅は2号線の駅。繁華街から手軽に来られるという立地の良さもあって、中国人の見物客が数多く集います。見物客はモノレールを背景に自撮り写真を撮ってSNSに上げるなど大喜びな様子です。
駅のホームがあるのはマンションの7階。改札口は6階にあり、出口までは階段を上り下りすることになります。
マンションの裏手には崖が迫っており重慶の地形の険しさを窺うことができます。こちら側にも駅の出入口が設けられていますが、8階からブリッジで崖の上と直結されています。
マンションを貫くモノレールは高密な重慶の街ならではの特色的な光景といえるでしょう。
李子壩駅以外にもあるビュースポット
李子壩駅の隣の牛角沱(niujiaotuo)駅のホームも中国人見物客が集まるスポットになっています。
牛角沱駅は2号線と3号線の乗換駅。嘉陵江に突き出す3号線ホームの北方からは2号線を走る列車が一望できます。奥には李子壩駅の姿も。
見どころの多い重慶軌道交通
ここで紹介した内容以外にも重慶軌道交通には興味深い見どころがあります。
有名なものとしては、未開発の荒野に出入口が寂しく佇む姿がネット上で話題の6号線の曹家湾(Caojiawan)駅があります。これについては他の方に紹介を委ねたいと思います。
個人的には蟻の巣のように複雑な構造をした1、2号線の両路口(Lianglukou)駅をお勧めしたいところですが、またの機会に紹介したいと思います。
(取材年月:2019年3月)
李子壩駅訪問ガイド
所在地
- 重慶市渝中区李子壩正街与桂花園路之間
アクセス
- 重慶軌道交通2号線李子壩駅下車
・洪崖洞や解放碑歩行街などがあるエリアから2号線で約15分 - 国鉄重慶駅から徒歩約20分
・高速鉄道などの主要路線は主に重慶北駅や重慶西駅などから出るため、発着列車は稀少
※2020年5月現在